![]() |
|---|
| ● | ミヤケさんから見たプロダクトデザイナーの方は、どんな印象でしたか? |
|---|---|
| ミヤケ | アーティストとプロダクトデザイナーの差っていうのも、また難しいところなんですけど、まずびっくりしたのは、時間厳守! |
| 菅野 | あはは。そうだね。(笑) |
| ミヤケ | ミーティングの時間に、全員が揃ってるんです。 |
| 菅野 | いや、それは、ねぇ?(笑) |
| ミヤケ | 私、アーティストの中では特Aなんですよ。「ミヤケさんは、待ち合わせの時間15分以内には来る。」「アーティストなのに、すごい早い。」とか言って。 |
| 菅野 | そうなの?(笑) |
| ミヤケ | 「ミヤケさんは、しっかりしてる。」とか「仕事がぴっちりしてる。」って言われてるんですけど、でもプロダクトにきたら、やっぱりそれは幻想だった!(笑) |
| 菅野 | あはは。(笑) |
| ミヤケ | だって、私が行った段階で、誰も迷子にならず、全ての人が着席してる状態なんですよ。いつも、「あれ? ぴったりなのに?」っていうのがすごくあって。 | 菅野 | そうだねぇ。 |
| ミヤケ | そういう社会的なコーディングが、しっかりしてますよね。やっぱり、一般常識のある人たちとリンクしてるお仕事なだけに、しっかりしてるというか。企業さんはじめ、ちゃんと普通の常識のある人たちと、ずっとお仕事してるじゃないですか。うまく言えないんですけど。 |
| 菅野 | あはは。(笑) |
| ミヤケ | 1社会人として、みなさんすごいきちっとしてるんですよ。例えば上下関係とかも、けっこうはっきりしてて。 |
| 菅野 | うん。(笑) |
| ミヤケ | 上を立てるとか、下が動くとか。言葉遣いにしても、みんながみんな、プレゼンとかきちっとできるし、日本語がおかしい人もいないし。いや、菅野さん笑ってますけど、そういうことが綺麗にできていて、すごい尊敬しているんですよ。 |
| 菅野 | うんうん。(笑) |
| ミヤケ | あと、江戸意匠のもうひとつの魅力は、参加してるみなさんがいい人というか、「えぇ~!? 理解できない!」っていうことがないじゃないですか。(笑) |
| 菅野 | そうだねぇ。 |
| ミヤケ | すごくスムーズに、みんながフェアに、自分の仕事を着々とやりつつ、周りにも気を配れるじゃないですか。それは素晴らしいし、なんか私、この人たちは好きって思ってるんです。勝手に。すごく好きだわって。 |
| 菅野 | そういう意味で言うと、プロダクトデザイナーって、かたまりで動くと威力を発揮するよね。 |
| ミヤケ | うんうん。 |
| 菅野 | 江戸意匠みたいな展示会は、グラフィックとか会場構成とか、みんなで協力してやらなきゃいけない部分があるわけ。このへんがプロダクトデザイナーはうまい! 何も言わずに率先してやってくれる。スケジュールも自分で管理して、絶対に納期に間に合わせてくるんだよなぁ。 |
| ミヤケ | ほんとに素晴らしいですよね。 |
| 菅野 | できた奴らだなぁ。 |
| ミヤケ | ほんとに。私の知ってる世界だと、画廊さんが牧羊犬で、私たちは羊みたいなかんじなんですよ。牧羊犬に「ワンワンワン!」って言われて、みんなで「わぁっ!」て走ってやってたのが、なんだか牧羊犬だけの群れみたいな。 |
| 菅野 | 牧羊犬!(笑) |
| ミヤケ | リーダー犬がいて、そこに向かってちゃんと序列があって、しかもみんなちゃんと働いてるっていう姿を見て、すごい美しいなと思って。こうあるべきだなと思います。 |
| 菅野 | それはきっと、マイさんがさっき言った、アーティストとデザイナーの違いなんだよね。 |
| ミヤケ | ふむ。 |
| 菅野 | さっきのライバル意識の話もそうなんだけども、プロダクトデザイナーがつくるものって、対象人数が多いんだよね。 |
| ミヤケ | うん。そうなんですよね。 |
| 菅野 | 売れるか売れないかわからない状況の中で、目に見えない人たちの70%〜80%に支持されるようなものをつくるわけです、予測で。 |
| ミヤケ | はい。 |
| 菅野 | だけどアーティストという、例えばマイさんみたいな人達っていうのは、自己表現なんだよね。 |
| ミヤケ | うーん。 |
| 菅野 | 対象人数が1,000人、2,000人ではないんだよね。 |
| ミヤケ | そうですねぇ。残念ながら。 |
| 菅野 | たぶんね、そのマスの違いがあるから、プロダクトデザイナーは社会性みたいなものがあるんじゃないかと思うんだよね。やっぱり企業と付き合うことになるから。いや、アーティストが社会性ないとは言わないよ。 |
| ミヤケ | うーん。 |
| 菅野 | やっぱり、自分の世界観の中で表現をしていくアーティストという仕事と、社会との関わりで仕事をしていくデザイナーって、けっこう違いが出るなぁって。 |
| ミヤケ | あと、みなさんオシャレです。 |
| 菅野 | オシャレ? |
| ミヤケ | それも社会性の一環だと思うんですけど、みんながおしゃれなの。それなりに、その人なりに、その人のカラーで。 |
| 菅野 | そうかもしれないね。 |
| ミヤケ | あとやっぱり、うまく言えないんですけど、こう、独立している感じが、みなさんちゃんとしますね。 |
| 菅野 | 特に若いプロダクトデザイナーは優秀だよね。 |
| ミヤケ | うん。怖いですよね。大友学ちゃんとか、あの若さでなんであんなに見れてるんだろうみたいな。 |
| 菅野 | 次もしこの企画があったら学ちゃんかなぁと思ってるんだけど。 |
| ミヤケ | あと、プロダクトの人たちって、ご夫婦が仲良くて、チームでやってるようなところ多いですよね。2人が会社みたいな。 |
| 菅野 | 多いねぇ。僕は絶対だめ!(笑) |
| ミヤケ | そういう意味で、菅野さんはちょっと特殊ですよね。 |
| 菅野 | 女房とは一緒にできないなぁ。 |
| ミヤケ | 私、それもすごく羨ましいです。そういうのいいなぁって思います。 |
| 菅野 | 確かにねぇ、見てるといいなぁって思うこともあるんだけどね、自分ではできないなぁ。 |
| ミヤケ | いろんなタイプがあっていいと思うんですけど、どちらかというと菅野さんの方が、江戸意匠の中では少数派ですよね。 |
| 菅野 | そうですね。 |
| ミヤケ | 全員が、夫婦でひとつみたいな。 |